ファルコノイド・ファルコンリー・アカデミー( Sugisaki )

[昔の獲物と今の獲物]

 
古文書や古い文献を読んだり、先人達から昔のことを聞くと、昔は現在と比べて獲物がかなり多く獲れていたことが解る。これは単に昔は現在と比べて自然界に獲物が多かったことを意味するのであろうか。鷹匠の技術の差異も原因の一つであろうが、他に大きな原因があると思われる。

 考えられる主な原因は、弱個体の人為的淘汰である。昔は獲物となる鳥がフラッシュされると「棒立ち」(急上翔)して針路を取るという飛び立ち方をしたようだが、このような鳥は現在は少ないらしい。おそらく、多くの狩猟者達によって、弱個体が獲りつくされ強個体が生き残り、種が固定したのであろう。つまり、弱個体に人為的弱化随伴性の淘汰圧がかかり強個体がそれを逃れたのである。

 
近年、オオタカが民家近くに営巣しているということが話題になるが、これも昔と比較して大きな変化である。おそらく、多様な発生の中、神経質ではない個体が強化随伴性を得て、オオタカという種に変化をもたらしているのである。民家近くで家禽やドバトを獲得できることが大きな要因と考えられ得る。