ファルコノイド・ファルコンリー・アカデミー( Sugisaki )

 グアテマラに在住されて自然保護活動をされている小川真澄さんから、たくさんの貴重な画像を頂きました。
 アトリエ・ファルコノイドは、現地の活動を応援したいと思います。



☆ARCAS☆

1989年に設立された野生動物保護NGOで、私が働く首都の事務所以外にティカル遺跡で有名なペテン県・太平洋沿岸のサンタロサ県に2つのレスキューセンターを持っています。

環境警察との協力で、押収された野生動物(国内輸送中、空港への輸送中、市場での違法売買での現行犯からの押収など様々です)を首都で受け取り、国の法施行機関であるCONAP(コナップ)への報告・怪我の治療などが主な首都事務所での仕事の1つです。

その他にも、一般市民からの連絡で巣から落ちてしまった鳥類や、ペットとして買い始めた野生動物をもう世話できないなどの理由で引き受ける事もあります。

グァテマラでは絶滅の危機にある野生動物の狩猟・商売目的での取り扱い・密輸出が禁止されています。しかし、「商売目的での取り扱い」とあるように、法律内に「許可なしの輸送・売買禁止」などという直接的な言葉がないゆえに、例え野生動物を運んでいるところを警察に見つかっても、「家の裏に飛べないでいたんだ。今から獣医に診せに行く」と言ってしまえばいくらでもすり抜けられるわけで、こういった理由で逮捕できなかったという環境警察の人の話もよく聞きます。政府が強く規制できない理由に、この国の経済的な問題もあります。また、グァテマラではマヤの時代から、オウムをはじめとする鳥類は共に人々が飼っていて生活をしていたという文化的歴史もあり、インディヘナ(原住民族)の文化存続を訴えるグループが強いこの国では、特に地方での自然保護の視点からの理解は難しいものがあります。首都では、ただ珍しいから、売られていて気に入ったからという理由でペットにする人がほとんどですが。

しかし、時代と共に考えを変えていくこと・変えなければいけない事と、なくしてはいけない事があると私は思います。その反面、そうしなければならないのは人間の生活による動物達のすみかを奪ってしまった事が1番の原因であり、変えなければならなくなった現状に人間の愚かさも感じます。少し言葉が大げさかもしれませんがきっとこれは、昨日ジブリのナウシカの映画を観たからかもしれません・・・。

押収された動物達は、怪我などがなくすぐにでも野生に戻せる状態ならば、それぞれの種にあったレスキューセンターに送られます。例えば、コンゴウィンコならばペテンへ、ウミガメやイグアナならばサンタロサ県へといった様にです。この際の輸送許可はCONAPが発行してもらいます。

また、首都では動物保護の視野からの環境教育もしています。日本の幼稚園にあたる学校から高校まで、人形やスライドを使って、「蝶々が運んだ花の蜜−花の蜜から果物−果物を食べる鳥達−鳥のうんちから生まれる木々−木々に住む小動物−森を走る小動物を空から見つける鷹−ふくろうに食べられるねずみ−ねずみを食べる蛇」といったように動物達のそれぞれの仕事を伝え(先日お送りした写真の中に蛙も登場していました)、彼らがいて森があって、人間の生活があるという事を伝えています。

首都の郊外にある自然公園内に去年、野外でも環境教育ができる場所として、自然や動物について学べることのできるハイキングコースを設置しました。これは私の赴任直前に決まったプロジェクトだったので、私のARCASでの最初の仕事は、このコースを作る為に山を切り開くことでした。はじめはスペイン語もわからなく、同僚の説明も半分理解できているような、でも結局何言っているんだといった感じに、なぜいきなり異国の地で環境破壊のような事しているんだろうと疑問ばかりだったのを覚えています。今年の初めには4つの全てのコースが完成し、現在ごみをテーマにしたもう1本のコースの企画を担当しています。たぶんその完成を見て、日本に帰る事になると思います。

これがARCAS・首都での主な仕事です。2つのレスキューセンターでは、動物達を首都から受け取った後から放獣までを行っています。ただ、鷹やふくろうといった子達は、その自然公園内に私達が放獣しています。今日は、朝残念な事に4日前からARCASで保護していたnyctibius griseusが死んでしまいました。

ARCASでは特に哺乳類の子供、怪我をして保護された鳥類が残念ながら死んでしまうことがあります。そうした場合、特に死因の究明などせずその子たちを標本や骨格模型に使わせてもらっています。

青年海外協力隊グァテマラ16年度3次隊
       環境教育隊員 小川 真澄
       所属・ARCAS GUATEMALA