ファルコノイド・ファルコンリー・アカデミー ( Sugisaki )
「羽杖と羽襖」
@「羽杖」
幼鳥期に巣の中で羽根を杖のようについて餌を隠す動作。
主に同じ巣の中の兄弟鳥から餌を隠す場合に行う。
成長して兄弟鳥から離れて狩猟を行い、自ら餌を獲得できるようになると羽杖行動の
必要性がなくなり、消失する。
雛の頃から人間に飼育され、自己餌獲得感(独立心)を獲得できないとこの行動は消失
せず、そのまま残る傾向がある。飼い主が餌を見せるだけでパーチ上でこの姿勢を見せる。
飼い主である人間がライバルである兄弟鳥の役割を果たしてしまい、この行動は消失
しない。
A「羽襖」
成長後、獲物を獲得したとき、獲物を他から獲られまいとし、獲物を翼や尾羽で覆う動作。
以下の条件のときに生起する。
@獲物を横取りされる心配があるが、獲物を置いてまで逃げる必要性(危険性)が
ないとき。
A獲物を横取りされる心配があるが、空腹感がそれに勝るとき。
●インプリント・バードは、@条件に該当し、飼い主に対して「羽襖」を生起しやすい。
●網掛(パッセージ・バード)は、訓練初期には飼い主から獲物を「持ち逃げ」をしよう
とする反射傾向があり、「羽襖」は生起しに難いが、カラスなど飼い主が対象ではない
場合、獲物を持ち逃げできない条件下及び、持ち逃げする必要がない条件下において
この行動は生起する可能性がある。
「羽杖・羽襖解消法」
1)プリント期に、餌を与える以外の時間にも鳥と共に時間を過ごし、「ソーシアブル」な
関係を築く(飼い主の中性刺激化)。給餌のときだけの付き合いは、飼い主をアグレ
ッション対象(攻撃対象≒餌と嫌悪対象のコンプレックス)の状態にしてしまう。
2)「自己餌獲得感」を獲得させるために、擬似ハンティングを行い、十分にセルフ・イート
させる。これによって「餌保持に対しての余裕」が出てくる。
3)十分な「据え込み」を行い、訓練者を徹底的に「中性刺激化」させる。
4)クリッカー法
@羽杖・羽襖を止める瞬間を待ち、クリック&トリートを行う。(フリーオペラント法)
A羽杖・羽襖を訓練者の手やブチを使って修正(プロンプト:身体誘導)し、
クリック&トリートを行う。(プロンプト法)
*クリック: 「条件性強化子(クリック音)」を提示すること。
トリート: 「無条件性強化子(餌)」を提供すること。