Falconoid Falconry Academy(Sugisaki)

「インプリント・アクシピターの育雛法」

 雛には手や指を使って給餌してはいけない。手や指と餌が「連合」してしまい、後に手や指が狩猟対象となってしまうからである。雛を訓練者が見えない箱に入れて、前もって小さく切った餌を獲物の羽毛の上に置いておく。給餌には長いスティックを使う。給餌者は鳥の後ろへ回り、そのスティックを使って、脇から餌を与える。これは、訓練者の姿と餌を「連合」させないためである。

 ルアーやフードやグラブをおもちゃとして遊べるように箱の中に入れておくとよい。これは、このような新奇な刺激早期に馴化させるためである。

 餌をのせて置くものに皿やルアーを使わずに、獲物の羽や獣毛のついた革を使う。鳥は、餌がその獲物の羽や獣毛と「連合」し、訓練者とは「連合」しないことになる。また、一日中、餌を箱の中に置きっぱなしにし、空腹状態を作らず、飽食状態にしておく。これも、無意図的誘発因操作による餌と訓練者の「連合」を回避するためである。餌を新鮮に保つために、一日に何度も餌を取り替える。少しずつ、切餌を減らし、食いちぎって食さなければならない餌の量を増やしていく。食いちぎるスキルが上達したら、腹を開いた生きた獲物を使い始める。

 腹を開いた生きた獲物を規則正しく殺して食せるようになったら、24時間餌を食せる状態を計画的なトレーニング・セッションに変更する。この時点では、食事と食事の間に適度な空腹を設定する。このときは、もはや屋内・庭で餌を提供するべきではない。他の場所、人が多い場所で訓練を行う。庭と獲物の連合を回避し、新奇刺激に馴化させるためである。

 一日一つの生餌で4,5回、「据え上げのトレーニング」を行う。この場合の馴化の重要な技術は、鳥に接近して鳥の脚指に何度も触れることである。歩き去っては再び戻り、ひざを突いて、鳥の背中を触ったり、指を触ったりすることを繰り返すことが大切である。

 「ルアー・トレーニング」には小さなあまり美味しくない報酬を使う。凍った餌をつけても良い。ルアーに対してあまり強い条件付けを行ってはいけない。ルアーへの適度な反応を教えるには大きな報酬よりも小さな報酬で繰り返すのが良い。ルアー・トレーニングは、空腹でないときに行う。1セッションの中にルアー・トレーニングと生餌トレーニングの両方を盛り込む。ルアー・トレーニングのみを行ってはいけない。ルアー・バウンドという言葉があるが、人間によって雛から育てられた鳥は、学習によって、生餌よりもルアーを好んでしまう場合があるので以上のような注意が必要である。

 腹を開けていない生餌を使い始めたら、すぐに鷹に接近して、生餌の腹を開け、鳥自身に生餌を殺させることが大切である。鳥が生餌の羽を抜き始めるのを待ってはいけない。そうすれば鳥は獲物を殺して食す快楽や自信を早期に身につけるであろう。