ファルコノイド・ファルコンリー・アカデミー (Sugisaki )
「信頼関係」
一般的に、動物とその主人(訓練者)の間柄を「信頼関係」という言葉を用いて表現する傾向があるが、「信頼関係」とは具体的にどのような関係のことを言うのか?
「自由意志による行動観の世界」では、「心と心が通じ合い、お互いが対象に愛情をもっている関係」と言うかもしれない。しかし、心情・愛情関係は可視化不可能であるので、可視化可能範囲で言うなれば、おそらく、「信頼関係にある」とは「主人の指示に動物が良く従う関係」ということであろう。
「動物を主人の指示に従う状態にする」にはいくつかの方法がある。
@罰子(嫌子)による刺激性制御
A強化子(好子)と罰子(嫌子)による刺激性制御
B強化子(好子)による刺激性制御
「人間の世界」では、「罰による教育」は「否定的社会観(悲観的社会観)」を生み、「強化子による教育」は「肯定的社会観(向社会的社会観)」を生む、と言われる。
「自由」とは、「刺激性制御を受けていないときに感じるものではなく、強化子を得るときに感じるもの」である、「不自由」とは「刺激性制御を受けているときに感じるものではなく、罰子を受けるときに感じるもの」であると言われる。
つまり、「信頼関係」を「行動分析学的(刺激性制御による行動観的)」にそして「向社会的」に言うなれば、「可能な限り強化子を使って得た、制御をするものと制御されるものとの関係、そして、相互強化を行う関係」と言えよう。
動物訓練の世界では「強化子と罰による刺激性制御」が一般的であるが、「観察スキル」「適時強化スキル」を持つ訓練者ほど「罰子」を減じ、「強化子」のみによって訓練を行うことができると言える。
行動分析家はまた、clicker とfoodを使った訓練を行う。行動分析家以外の訓練者は、clicker-food
traininngに違和感を示すことが多分にあるが、clicker-food traininngは動物に「快をもたらす訓練」であるので、「信頼関係を構築する良質な訓練」と言える。