Training Your First Longwing
                  by Steve Jones

 アメリカの鷹狩り雑誌「American Falconry」から、編集者 Steve Jones 氏の許可を頂き、Jones氏ご本人の論文を、杉崎が翻訳を行い、掲載させて頂きました。

        私と意見を異とする部分もありますが、大変素晴らしい論文です。ご一読ください。

                          American Falconry 
                        Editor : Steve Jones
                     http://www.americanfalconry.com/

                    Training Your First Longwing
                  Article by Steve Jones Dayton, WY

                http://www.americanfalconry.com/FirstLongwing.html
   
                   翻訳者:杉崎一彦 ( Sugisaki, Kazuhiko )


1.Getting the Bird (Translated by K. Sugisaki )

 ハヤブサがブリーダーのもとで生まれたら、50日を経過するまで待つこと。もし、プレーリー・ファルコンを雛から得ようとするなら、可能な限り成鳥にすること。生後25日より前のものは望ましくない。初めてのハヤブサはインプリントものは避ける。生後50日まで親鳥といっしょにいたハヤブサをマニングすることは、若レッドテールをマニングするのと似ている。ハヤブサを家に連れてくる前に、そのハヤブサの種類に合うサイズのフードをいくつか用意する。ブリーダーから連れてくるときにもサイズの合ったフードが必要である。最初の数日間、拳上にのせていないときは、フードをしたままにしておく。このときハヤブサはフードをかぶっていることに慣れる。あなたは、余計なフード・トレーニングは必要ではないほど、マニング過程で充分フードを取ったり着けたりすることになる。トレーニング中は必ず、犬を近くに置いておくこと。たとえ水鳥をハンティングするつもりでも、犬にも馴らせておくとよい。フィールド・ミートなどで陸上の獲物の狩りをしたいと思うときがくる。そのときはハヤブサは犬を許容する必要がある。

 ハヤブサがある程度慣れると、短時間、フードをせずにスクリーン・パーチやポール・パーチに置いてみることができる。この期間はハヤブサをよく監督していなければならない。ハヤブサがパーチに這いあがるのを手伝わなければならないかもしれない。あなたが手を出す前に、ハヤブサ自身でパーチに戻る機会を与えること。ハヤブサは自ら這い上がることをすぐに理解するはずです。

 ばたばた暴れずに拳にのってくるまで、リーシュを使うブロック・パーチにのせてはいけない。ハヤブサはブロック・パーチよりも、スクリーン・パーチやポール・パーチからの方がすぐに拳にのってくる。家の中につないで置くことは良い考えである。糞は真っ直ぐ下に落ちるので、汚れは最小限で済む。もし、にぎやかな子供が数人いれば、マニング過程をかなりスピードアップする。マニング全体が順調に進むであろう。

2.Lure Training (Translated by K. Sugisaki )

 ハヤブサを拳に呼び寄せることは、あまり重要ではない。それを行わずに、ルアー・ワークに進むことさえできる。両側に乾燥させた軽い鳥の翼を結び付けたルアーを使う。その翼は、後につけないことも可能であるが、しかし、始めはそれらは、ハヤブサにとって魅力的なものとなる。それらはまた、ハヤブサが羽毛がついたものから手を放す訓練にもなる。これは、後にハヤブサを獲物から据え上げること容易にする。大きな肉の塊をルアーに結び付ける必要はない。指の先ほどの小さな肉片で良い。まず、フードをしたハヤブサを屋内の床に置く。肉片を付けたルアーをハヤブサから1フィート離れたところに提示する。そしてフードをはずす。ハヤブサが暴れてしまうようであれば、このエキササイズを行うには時期尚早ということである。興味を示してはいるが、動かないならば、ルアーを揺り動かし、ハヤブサが肉片を確実に見えるようにする。運が良ければ、ハヤブサは歩いていき、肉片を食べるであろう。ハヤブサが肉片を飲みこむとすぐに肉片をもったグラブをハヤブサの前に提示しなさい。ハヤブサは、それを食べ始め、容易くグラブの上にのるようになる。このエクササイズを数多く繰り返すことは必要ない。実際、ワン・セッションに1回、ルアーにハヤブサを呼ぶだけでも良い。次のステップで、床上でハヤブサに歩いてルアーを追わせる。すぐにハヤブサは部屋の中を飛ぶようになり、激しくルアーを掴むようになるでしょう。この時点で、ルアーに肉片を付けるのを止めることができる。

 もし、ハヤブサがルアーにのったらすぐに肉片をもったグラブを提示すれば、喜んで飛んで来るようになるでしょう。気がつけば、野外でクリーンスを付けて100ヤードの距離を飛んでくるようになる。野外でハヤブサをルアーに呼ぶときは、ハヤブサをフェンス・ポストや、車や、のちにとまって欲しくないようなものの上に留まらせてはいけない。最良のものは、人の拳か、それがないなら、地面がよい。

 この時点では、暗くなった後、フラッシュライトで照らしたルアーに数回ハヤブサを呼ぶのも良い考えである。しかし、付近に住むフクロウはそうすることを歓迎しないであろう。なぜなら、フクロウはハヤブサに食事を奪われると思うからである。注意:クリーンスをつけてハヤブサを飛ばすときはいつも、トランスミッターをつけるのは良い。最善の装着物も不慮の事故で駄目になりうる。50フィートのクリーンスを装着して飛んで逃げるハヤブサも悲運である。

3.Off the Creance (Translated by K. Sugisaki )

 多くのハヤブサは、1日中フードをはずし、放置されることが可能になる前に、初めてのフリー・フライトが可能になる。フリー・フライトが可能か否かをハヤブサが屋内のブロック上でどれだけ落ち付いているかを見て判断するのではなく、クリーンスを付けた状態のパフォーマンスを見て判断しなさい。もし、ハヤブサが5秒かからず、即座に100ヤードの距離を飛んでくるなら、準備ができていると言える。最初のフリー・フライトは簡単なものにする。クリーンスが付いているときのように、ルアーに呼ぶ。ハヤブサは、引きずってくるものがないので、初めてクリーンスをはずすとルアーを飛び越えてしまうものがいる。そうであっても心配はいらない。ウエイトが正しければ、ターンし戻ってくるはずである。また、フリー・フライトを行うときは、ジェスを外しなさい。拳上で餌を食べている間、ジェスを取りかえることは容易い。もし、あなたがそうすれば、ハヤブサは他の猛禽類に悩まされることは少なくなり、フット・スキルも向上する。ハヤブサが飛んでいる間は、ジェスは必要ない。

4.Introducing Pigeons (Translated by K. Sugisaki )

 ハヤブサがフリー・フライトするようになれば、ハヤブサをハトに当てる時期である。開けた場所に行きなさい。好ましいのは、クリーンス・ワークを行った場所である。あなたの車を含めて、ハヤブサが着地してしまう可能性がある場所(地面は除いて)とは、少なくとも400mは離れているべきです。その上に降りてしまう誘惑はより強いものである。狭いフィールドでも構わないが、あまり相応しくない。

 まず、ハヤブサを助手の拳か、ルアーにハヤブサを呼んだときにしたように、地面におく。今度はルアーの代りに若い飛行する上で不利な条件をつけたハトを投げる。ハヤブサは、ぎこちないが地面でハトを掴むでしょう。それでも構わない。すぐに近づき、必要であれば、ハヤブサがハトを食らうのを手伝う。ハヤブサが落ち付き、ハトの羽をむしり始めたら、餌を拳に持って提示する。ルアーから据え上げるときのようにする。拳に据え上げたとき、ハヤブサは片足でハトを掴んでいるかもしれないが、通常すぐに足をはずすでしょう。もしそうでなければ、あなたの右手を使って、ハトからハヤブサの爪を丁寧にはず。ハヤブサは拳上で餌を食べ、あなたに対して攻撃的にはならないはずです。

 次の日、ハヤブサをファルコナーのところへ飛んで来させるために、ハトをフラッシュ(ハトを持ち上げ、翼をバタバタさせること。)する。そして隠す。ハヤブサがあなたの脇を通りすぎるとすぐにハトを投げ上げる。あまり良くは飛べないハトを使う。ハトを隠したとき、ハヤブサがあなたの脇を通り過ぎず、足元に着地してしまったら、歩いてハヤブサから離れる。ハヤブサが後をついて来ないなら、ハトを再びフラッシュする。ハヤブサはついにはあなたの脇を通りすぎ、あなたはハトを投げ上げることができる。ハヤブサがハトを掴んだら、結構である。そうでなくても結構だ。もし掴まなかったら、ハヤブサをルアーに呼び、据え上げ、その日の分の餌を上げ、訓練を終える。もし掴んだら、前日にやったように、据え上げ、その日の分の餌を与え、据え上げる。

 次の日、ハヤブサをあなたの拳から放してもよい。フードをはずし、高く拳をあげなさい。必ずジェスをはずす。ハヤブサは飛びたたないかもしれない。もしそうであれば、数分待つ。なお、飛ばなければ、良く飛ぶハトを投げる。ハヤブサはハトを追いかけ、戻ってくるでしょう。何らかの理由でハヤブサが飛び立たなければ(稀なことではあるが)、もう一つのハトをあなたの目の前の草むらの中へ投げなさい。ハヤブサはハトに向かって行き、ハトは飛び立ち、追跡が始まるでしょう。ハヤブサがあなたのところへ戻り、疲れている様ならば、捕まえやすいハトかルアーを投げてあげる。もし元気でもう少し飛びたいようならば、元気なハトを投げてあげる。

 ハヤブサを少し押し出しなさい。しかし、やりすぎてはいけない。ハヤブサを過度に投げようとすると、着地してしまうでしょう。もし着地してしまったら、ハトやルアーを出して提示してはいけない。じっくり待ちなさい。ついにはハヤブサは飛び立つでしょう。そして、あなたは行動に移る。あなたはハヤブサにじっとしたままでいると、餌をもらえないと考えてもらいたい。もし、時間がなくて訓練を切り上げなくてはならないなら、試みるべきことがいくつかある。@歩いてハヤブサに近づき、据え上げ、家に着くまで餌はほとんど与えない。Aハヤブサから歩いて離れ、ついてくるかどうかを確かめることもできる。Bハトをフラッシュすることもできるが、ハヤブサが飛び出すまでハトを投げ上げてはいけない。何はともあれ、ハヤブサが飛び立つまで待つことが最善の選択と言える。

5.Wait-on (Translated by K. Sugisaki )

 さて、wait-onには、ストゥープのための充分な高度が必要です。もし、運が良ければ、ハヤブサは自力で上がりはじめる。ハトを上空へ投げる最善のタイミングは、ハヤブサが、クライミングしたり、ファルコナーから離れて行こうとするときである。最悪のタイミングは、翼を止め、上空からファルコナーを見下ろしているときである。ハヤブサが1000 フィート上がっていようとも関係ない。それでは、まだ最悪のタイミングである。頭の真上で旋回上昇させようとしてはいけない。ハヤブサがファルコナーから400メートル離れて、方向転換し、戻り、その間クライミングしようとしたら、素晴らしい。ファルコナーの頭の真上で、非常に高いところまで旋回し上がるハヤブサもいる。しかし、ほとんどは、実際に上がるためには、ファルコナーから離れ、ある程度の空気を翼にはらむ必要がある。ハヤブサを近いところにとどめようとし、抑えてはいけない。手綱を緩め、飛びたいままにする必要がある。 ハヤブサが頭の真上にいるときに、必ずしもハトを投げ上げてよいとは限りらない。ハヤブサが今までで最も上昇し、その高度の2倍の広さで飛行したら、ハトを上げなさい。高度が重要である。ポジションはその後である。フラッシュの際、風上にるハヤブサは、有利だということは周知の事実であるトレーニング中、可能であれば、ハヤブサがファルコナーより風上にいるときに報酬を与えなさい。しかし、特に早い時期においてはそれに拘りすぐてもいけない。高度はポジションよりも重要である。ポジションを気にし過ぎると、ハヤブサはファルコナーを意識し過ぎることになる。良いポジションはボーナスと思いなさい。高度ほどは重要ではない。この時点で、ハヤブサがどの程度、ファルコナーを中心に飛行したらよいか考えるようになる。もし、ハヤブサが上空へ向かって進み、飛びまわり、頭上15メートルのところでホバーリングしないならば、順調といえる。

 一方、もしハヤブサがファルコナーから100ヤード以上離れず、ファルコナーの動きを凝視しているようなら、ファルコナーから注意をそらす必要がある。カイトや、バルーンを使うのが良いが、それだけではない。試みるべき最初のことは、上空で長く待たせることである。ハヤブサはついには、離れるか、着地するかする。もしハヤブサが着地してしまうなら、“ハトの導入”のところで記述したようにする。ハヤブサがファルコナーから離れ、上がったら、ハトを投げ上げる。この時点では、リモート・ピジョン・ローンチャーの使用が望ましい。

 上昇気流を使ってハヤブサを上昇させることも可能である。上昇気流が発生する正午頃、ハヤブサを連れだし、上昇を始めるまで、飛ばし回しておけば良い。私は本当はこの方法は好まない。ハヤブサが上昇気流を使って上昇するのに慣れると、いつもそれを探すために飛びまわり、それがなければ上昇するのをいやがるようになってしまう。
 
 効果的な方法としては、訓練助手を連れていくことである。2人がハトを持ち、100ヤード離れて立つ。ハヤブサがあなたの頭上でホバーリングしたら、助手に元気の良いハトを投げ上げさせる。ハヤブサはそのハトを追跡するが追い付かず、再び戻りあなたの頭上でホバーリングする。ハヤブサが助手の方へ飛んで行き、助手の頭上でホバーリングするまで、助手にハトを次々に投げ上げさせ続ける。助手の頭上でホバーリングするようになったら、次にあなたがハトを投げ上げる。多くのハヤブサは、上空から2人を同時に“カバー”する唯一の方法は上昇することである理解する。2人が、毎日徐々に距離を離すにつれて、ハヤブサは益々高度を上げなければならなくなる。

 試みることができるもう一つの方法として、瞼(まぶた)を糸で縫ったハトがある。フードをはずし、拳からハヤブサを放つ前に、瞼を糸で縫ったハトを投げ上げなさい。ハヤブサは20ヤード以内でハトを捕まえるはずである。捕まえたら、据え上げ、その日の分の餌を与え、家に帰る。次の日は、フードをはずす前にハトを投げる。ハトを投げた後、直ちにフードをはずし、ハトを捕らせる。これを毎日続ける。しかし、ハトをそのたびごとに高く上げなさい。ふらふらと地上に降りてしまうハトもいるので、数羽携帯しておくとよい。そういった場合でも、ハヤブサはフードをかぶされているので、地上に降りたハトを回収し、別のハトを投げ上げることができる。800フィートも上がったハトもいた。ハヤブサにするように針と糸を使って縫うと、良い結果を生むように思える。ハトがより元気が良ければ、より高く飛んでいくようである。また、縫い目を少し緩めておいてもよい。するとハトは、前部から外を少し見ることができる。このことは、しばしばハトをより高くあげることができる。ハトを投げ上げたら直ちに大声で叫ぶとハトはよく飛ぶようである。ことが上手く行くと、ほんの数日後には、ハヤブサはハトを掴むために300フィートかそれ以上上がるでしょう。あなたがハトを上げ続けたいのなら、望む限りこれを続けることができる。ハヤブサが最高点に達したら(こういったことは3、4セッション後になし得るのであるが…)、瞼を縫ったハトではなく、瞼を糸で縫っていないハトを投げ上げる。ハトが上がる途中にあるとき、瞼を縫ったハトを使ったときのように、フードをはずす。あなたのハヤブサはハトを掴むために、空に向かって突進する。もし、ハヤブサが諦めたら直ちに、たとえ非常に大きい円周を描いて飛んでいたとしても、確実に捕獲できるハトを投げ上げなさい。ペルグリン・ファルコンとプレーリー・ファルコンはたいていすぐに諦める。ハヤブサを上空へ誘うために使うハトが元気であるということを確かめなさい。ハヤブサが元気なハトを追い続け、諦めたくないように見えるならば、大声をあげて叫び、捕獲しやすいハトを投げ上げなさい。上手くいけば、追跡をやめるでしょう。もし、上手く行かなくても、あまり気にしない。もう少し時間を与える。たとへ遠くへ行ってしまって、見えなくなったとしても、ハトが十分に元気であれば、ハトは逃げ切るでしょう。そのときハヤブサは戻ってくるはずである。特に毎日同じフィールドを使っているのなら…。ハヤブサが自力で上がることを習慣付けるまで、ハヤブサを空高くへ誘うためには元気なハトを使いつづけるとよい。ハヤブサを鴨の池の上空へ上げるためにハトを使うことさえもした。瞼を縫ったハトを使うときは、慎重に行うこと。このことには理解を示さない人もいる。ファルコナーのことを快く思わないようにはさせないこと。

6.Stooping the Lure (Translated by K. Sugisaki )

 もし、運良く、自然にハヤブサが上昇して行き、ファルコナーの餌が入っているバッグではなく上空を見ているのなら、ルアーの助けを少し借りてことを進展させることができる。元気なハトを使ったセッションの後、ハヤブサをルアーに呼ぼうとするとき、ハヤブサにストゥープさせなさい。ハヤブサをルアーにストゥープさせることは、フット・スキルとスタミナを向上させる。フット・スキルが向上すると多くの獲物を獲れるようになり、スタミナが増加すると高く上昇すること(高いピッチ)が可能になる。ハヤブサをルアーにストゥープさせることはピッチを下げてしまうと聞いたことがあるが、数羽のハヤブサのみである。ハヤブサがファルコナーの頭上でホバーリングし続け、ファルコナーから注意をそらす措置をとらなければならないとしたら、望みを託す最後の方法は、ルアーにストゥープさせることである。もしあなたが、ハヤブサを先ず上昇させることをせずに、ルアーにストウープさせ、ハトか獲物を飛ばすと、ハヤブサを混乱させることがにできる。もし、ハヤブサが酷くあなたに集中せず、ハヤブサを回収しようとするならば、ストゥープはハヤブサにとって驚くべき良い効果をもたらす。私のハヤブサのほとんどにこれを行った。幼鳥のころだけではなく…。上手くいかないフライトの後、特にフライトが短時間であっても、私はストゥープさせる。もしハヤブサがルアーに触れたら、多くの本で書かれているように、地面にルアーを落としたものである。 しかし、もはや行っていない。触れただけでは獲物は降りてこない。ハヤブサがルアーを強く掴み捕るまで待つ。私はそのとき、えり好みはしない。 なぜならルアーは通常、まさに私の手の中から取り出されるからである。私はまた、ハヤブサにルアーを捕る準備をさせると、空中に獲物を投げ上げたものでした。私はもはやそれもしない。私がそれをやったとき、ハヤブサは私が獲物を投げ上げるまで、ゆっくり私の傍を通りすぎるだけでした。私がルアーを水平にふると、ルアーを獲ろうとしない。現在は、ハヤブサがルアーを捕る準備をしたとき、ルアーを難なく捕れるほどにルアー・スイングのスピードを落とす。するとハヤブサはすべてのパスにおいて獲物をキャッチするチャンスがあると考える。ハヤブサをルアーにストゥープさせるファルコナーは僅少である。彼らは本当に好機を逃してしまっている。ルアー・ワーク(ルアー・ストゥープ)によってハヤブサがフット・スキルやコンディションを良くする量は、実に驚くべきものである。

7.Wind and Flushing (Translated by K. Sugisaki )

 最初は、可能な限り、強風の中は、飛行させることを避ける。初めは、ハヤブサは強風の中を飛ぶのに充分に体力はない。ハヤブサが数ヶ月の間上手く飛んでいるなら、適度な風の中で飛ばすことを試みなさい。ハヤブサが上手く飛び、適度な風の中で上昇するのなら、より強い風の中で飛ばしてみなさい。大切なことは、徐々に行うということです。強風の中上手くマウンティングするのは、多くは2シーズン目となるでしょう。獲物をフラッシュする際は、通常、獲物をハヤブサの風下にフラッシュすることが望ましい。しかし数多くの例外もありうる。鴨に関していうと、近くに他に池があるのなら、その池とは別の方向へフラッシュするのが望ましい。また、ある方向にフラッシュすることが鴨を陸から離してしまう状況もある。フラッシュすべき方向はハヤブサと獲物の配置を考えなければならない。陸上の獲物であれば、可能な限り、近くの藪とは別の方向にフラッシュしなさい。もし近くに藪がないならば、風下へフラッシュするためにポイントを回りこむこともできる。ハヤブサが我慢強ければ、風下へのフラッシュを行う前にハヤブサを上空に上げ、待たせなさい。ハヤブサをどんな獲物(水陸両方の獲物)にも当てるこのやり方は、途中、ふと壁に当たることもあるでしょう。異なる状況のフラッシュの仕方を学ぶ最善の方法は、試行錯誤しかありません。大切なことは注意を払うことと、頭を使うことである。熟練したファルコナーとハンティングに出かけ、アドバイスをもらうとよい。彼らの失敗経験から秘訣を学びなさい。

8.Weight Control (Translated by K. Sugisaki )

 ファットな(体内に脂肪分の多い)ハヤブサがより高く飛行するというのは神話である。ウエイト・コントロールはハヤブサにとって非常に重要なことである。ただ単にハヤブサがすぐにルアーに飛んでくるからといって、必ずしもハンティング・ウエイトの状態であるとは限らない。ハヤブサは、空腹のとき、最も高く飛び、最も多くの獲物を捕らえる。これは、単純なように聞こえるが、ハヤブサをファットな状態で飛ばしてしまっていて、ハヤブサの潜在能力をに気がつかないファルコナーもいる。誰しも、ハヤブサを弱い状態にするほど体重を低くしたくはない。もし、あなたが偶然にもハヤブサの体重を低くしすぎたら、ゆっくり上げていきなさい。ハヤブサが再び力強く飛行するのに充分な体重に上がると、おそらくそれが適切な体重にということになるでしょう。ハヤブサが餌を食べている様子をみると、すぐにそれがわかるはずです。ハヤブサが獲物の羽毛を少しむしり、辺りを見まわし、少し食べ、再び辺りを見まわしたら、ハヤブサはおそらくファットな状態にある。もし、勢い良く食べ、辺りをほとんど無視し、たとえ小さくてもすべての肉片を食べるのなら、適切な体重の可能性がある。もう一つの指標は、獲物を押さえているときの状態である。もしあなたが獲物を押さえているハヤブサを写真に撮ろうとするときもハヤブサが食行動を鈍らせなければ、体重はおそらく良い状態である。もしハヤブサが、あなたが写真を撮るのをじっと見守っていたら、体重超過の可能性がある。ルアーに降りる前にルアーの脇を何度かかすめ飛ぶことは、ハヤブサがファットな状態にあるかどうかを判断するもう一つの指標となる。ルアーを見たら1000フィートの上からでも、即座に舞い降りて掴まなければならない。常に与える餌の量を測り、ログ・ブックに記入し、状態を追跡しなさい。ウズラ半分がいつも与えている量だからといって、計量せずに与えてはいけない。ウズラの大きさや、半分にする方法によって、ウズラ半分は1〜2オンス重さが異なりうる。2オンスの肉片と4オンスの肉片はあまり違ったようには見えないが、ハヤブサの体重には大きな影響を与える。餌の重さを最初に測ることによって、それから推量を行うことができる。あなたはまた、私が好むフェド・ウエイト・システムを使っても良い。主に、与える餌の量を測り、追跡し、ウエイト・コントロールの管理をする。

9.Multiple Flights (Translated by K. Sugisaki )

 ハヤブサは1日に1度だけ飛ばすのがよい。少なくとも、初めは…。多くのハヤブサの場合、2回目のフライトでは、1回目のフライトほど高く上昇し力強くは飛ばないでしょう。1日2回のフライトを日課とし、調子もよければ、1回目のフライトよりも良く飛ぶハヤブサもいるでしょう。同じ日に1回以上ハヤブサを飛ばそうとする前に、少なくとも1ケ月間、一貫して上手く飛ぶようになるまで待ちなさい。ハヤブサが1度目と同様に2度目も上手く飛ぶのなら、規則的に複数のフライトを自由に試みて良い。しかし、ハヤブサのフライトに良い影響をもたらすと確信している場合に限る。上手く飛行することができるハヤブサに関しては、獲りやすい獲物であれば、1日2回のフライトで複数の獲物を捕らせることは可能である。しかし、無理は禁物である。

10.Hiding the Lure (Translated by K. Sugisaki )

 ハヤブサが飛行中、ハヤブサに一度ルアーを見せたら、捕らせてやりなさい。ルアーにストゥープさせてもよいが、一度ルアーを見せたら、決して隠してはいけない。多くのファルコナーは、戻るのをいやがっているハヤブサをファルコナーの元に戻そうとするとき、ルアーを使うでしょう。これは悪い例である。数度これをやってしまうとルアーへの反応は消失してしまう。ハヤブサはファルコナーに信頼をおけなければならない。決してその信頼を壊してはいけない。もし、ハヤブサがファルコナーからかなり離れて飛んでしまっているなら、グラブを振ったり、ハトをフラッシュしたり、側転をしたり、ハヤブサにルアーを見せる以外のことをして、ハヤブサを戻すこと。もし、どうしても戻ってこず、ルアーを取り出さざるを得ないなら、ルアーを捕らせ、その日の訓練を終了する。帰宅し、ハヤブサが戻らない原因を解明し、問題を解決しなさい。多くの原因があり得る。:オーバー・ウエイト場合。ハヤブサが何らかの獲物に焦点を当てていた場合。獲物めがけてハヤブサを放ち、何らかの悪影響があった場合。

11.More Pitch (Translated by K. Sugisaki )

 ほとんどの獲物(特に池から飛び立つ鴨)は、100フィートの高度から捕ることができる。もしハヤブサがもっと高度を上げれば、よりエキサイティングで、より多くの獲物を捕ることが可能になる。ハヤブサが高度を上げれば、ファルコナーの位置が悪くなり、ハヤブサがストゥープをする前にはファルコナーの位置を湖の中や藪の中に変えなければならなくなることもあるかもしれない。あり得ることかもしれないが、試行する価値はある。高度を上げて上手くいかなくなると、ハヤブサは状況に適するように高度(ピッチ)を調整するでしょう。実際には、300フィート以上のピッチが高すぎる状況はほとんどない。ほとんどのハヤブサ(特にオス・ハヤブサ)は、機会を与えられれば、上昇するでしょう。しかしながら、ハヤブサは上昇するためには、身体的調子が良いということが必要である。こういったところでハヤブサをルアーにストゥープさせる訓練を行っておくことがハヤブサのピッチを上げる結果となる。調子の良いハヤブサは、空へ急上昇し、ファルコナーによるフラッシュの準備ができないうちに1000フィートもあがるでしょう。

 数年前、小さな池の鴨をめがけてターセル(オス・ペルグリン)を飛ばしていた。そのハヤブサを狩りにだし、300フィートに達すると、私はフラッシュした。私は貯水池の裏手に這い付くばり、フラッシュの準備をした。ハヤブサは広範囲に上空を漂っていた。私はハヤブサを上空に呼び寄せるために、グラブを振り始めた。ハヤブサは来ようとしなかった。私がどうしようかと思慮していると、ハヤブサはマウンティングをし続けた。ハヤブサが600フィートまで上昇すると、上空へやってきた。私が鴨をフラッシュするとハヤブサは鴨をしとめた。そのフライトの後、私は、ハヤブサが何かを教えてくれたのだと理解した。私がハヤブサに機会さえ与えれば、ハヤブサは上昇するのである。私は、フラッシュを行う時期をハヤブサが充分に上昇するまで、我慢するようになった。数日後、ハヤブサは私が上昇させようとしていると理解した。するとハヤブサは私の近くで再びマウンティングし始めた。彼のピッチは高くなりつづけ、2年目を向かえるまでには上空で点になるほどになった。

 ハヤブサがある程度の高度をとるとすぐに、慌てず、 フラッシュすることは困難である。特にハヤブサを初めて扱う場合…。ファルコナーのアドレナリンは沸騰し、好機を逸しないことを望む。その気持ちはよくわかる。私もまだそうなってしまう。ぐっと堪えて、少し待ちなさい。ハヤブサが非常に高く上昇するので驚くであろう。また、あなたがハトを投げ上げるときのように、ハヤブサが羽ばたきを止めるのを待ってはいけない。いつもハヤブサが活発にクライミングしているときにフラッシュしなさい。もう一つ大切なことは、ハヤブサが低い位置にいるときはフラッシュしてはいけない。もし、ハヤブサが通常は600フィートまで上昇するのに、ある日300フィートしか上昇しないのに、仕方がないといって絶対にフラッシュしてはいけない。フラッシュはハヤブサに対する報酬である。たとえハヤブサが獲物をいとめる結果に終わっても、望ましくない行動に対して報酬を与えてはいけない。これは実際に行うであろう難しい問題である。あなたは、ハヤブサを放つ機会を見つけ2時間探したかもしれない。フラッシュをぜずに帰宅するものかと思うでしょう。私もそうである。この種の教義を守ることは困難である。あなたは、「フラッシュしよう。そうすれば獲物はハヤブサの気持ちを変えるであろう。そしてフラッシュすれば、ハヤブサに次回により高く上がることを教えることになるであろう。」と自分に言い聞かせる。間違いだ!ハヤブサはそのフラッシュを報酬と考えてしまうだろう。獲物のフラッシュはより大きな報酬である。しかし、獲物ではないフラッシュも、なお報酬である。

 一方、もしこの種の教義があなたに合わなくても、300フィートまで即座にマウンティングし、鴨を縦横無尽に襲うハヤブサに関しては、問題はない。あなたが楽しめれば、上手くいっているということです。