ファルコノイド・ファルコンリー・アカデミー ( Sugisaki )
[ネット・クルージングQ&A]
Q:若鳥が木枝にパーチングするのが下手なのはなぜが?
A:木にパーチすることが下手というわけではなく、むしろSail(翼)やTrain(尾羽)の使い方が上手くなく、Piroting-skill(操舵技術)やBraking-skill(制動技術)が未熟と言った方が良いでしょう。
解決法としては、木枝への短い距離の飛ばし込みを繰り返し行い、飛行技術(翼、尾羽の使い方)を習得させることです。距離は徐々に伸ばしましょう。
Q:換羽が明けて、ルアーへの反応は良いのですが、餌合子の反応が悪くなってしまいました。
どうしたらよいか。
A:下記の理由が考えられます。
「動因操作」が不十分。
・体脂肪率が高い
・体重が高い。
鳥にとって、「好刺激強度」の関係は以下のようになります。
「ルアー刺激 > 餌合子刺激」
*ルアー刺激の分析
・餌(強化子)を餌合子より多く得られる(中強化)。
・ルアーウイングを掴める、攻撃できる。(攻撃性好子)を得られる。
・訓練者から距離があり、嫌悪性を感受しにくい。
*餌合子刺激の分析
・餌(強化子)をルアーより少量しか得られない。(小強化)
・攻撃性を満足させられない。(攻撃性好子)を得られない。
・訓練者から近距離なので嫌悪性を感受してしまう。
各刺激への適切体重(体脂肪率)の関係は次のようになります。
「ルアーへの反応適切体重 > 餌合子への反応適切体重」
「解決法」
@餌合子適切体重までの生体の体重減(体脂肪率減)。
A餌合子(小強化子)の中強化子化(オペラント条件付け)。
餌合子(小誘発子)の中誘発子化(レズポンデント条件付け)。
つまり、餌合子を使って、行動後に多めに餌を提供する。
Q:尾羽を傷めないホコの作り方、留め方は・・・?
A:いくつか留意点を挙げます。
@2本のジェスの合わせ目からホコまでに10cm程度の「ジェス・エクステンダー」を付けて余裕を持たせる。
A止まり木の両脇に目隠しを作り、鳥が餌を目がけて「横飛び」しないようにする。
Bあまり毛足の長いターフを使用しない。
Cホコの周囲に嫌悪性刺激遮断のための目隠しを置く。
Q:リハビリに「渡り訓練、飛行訓練」は必要か・・・?
A:鳥の健康状態・筋力状態にもよりますが、ほとんどの鳥の場合必要になります。
傷病鳥の場合、長期間の治療後、ほとんどの鳥がある程度の筋力・体力・飛行スキルを失っています。
「生餌を使った訓練」を行うにも、それらを回復させなければ、生餌を獲ろうとしなかったり、生餌を獲ろうとして生餌の力に負けてしまったりして、鳥は自信を喪失してしまいます。
ですから、その前に「渡り訓練」や「ジャンプ・アップス訓練」や「ルアー訓練」や「丸ばし」などを行って、「生餌訓練」へ向けての階段を登らせるのです。
ハイタカ属の場合、外環境に馴化させ「渡り訓練」を上手く行うために、ある程度の「据え回し」が必要になります。
「渡り訓練」ではあまり体力が付かないとも言われますが、生餌訓練へ向けてのワン・ステップになることは確かで、本数をこなせば、ある程度筋力はつくものです。
軽度の傷病であれば、治療も短期間で済み筋力・体力・飛行スキルをあまり失うこともなく、小屋の中で獲物を何度か獲らせて、放鳥することは可能です。
Q:換羽中の理想的な小屋とは・・・?
A:いくつかの理想的な条件を提示します。
@外環境からの嫌悪刺激を遮断するために四方が壁であること。
*小屋の中から人間や犬などが見えない位置であれば、格子窓を作ることは問題ない。
A天井の一部分をナイロンネットや格子窓にして、そこから明かりや雨が入ること。
B小屋の下部を通気できるように工夫する。
C水分を十分に摂取できたり、水浴びを自由にできるようにする。
D訓練者が鳥に姿を見られることなく、餌を小屋の中に入れることができるように、フード・シューター(餌窓)をつくる。
Q:「留め鳥屋」は勧められるか・・・・?
A:以下の理由でお勧めできません。
http://www7.ocn.ne.jp/~falconoi/FalconryAcademy/molt.htm
U.換羽開始・促進の方法
1)ストレッサーを除去すること、ストレスを適切に処理すること
@換羽時期前にマニングを行っておくと(十分に訓練しておくと)、鳥は嫌悪性ストレッサーを
感受し難くなる。
A遮蔽物によって嫌悪性ストレッサーを除去する。
B小屋に入れて、鳥に自由を与える。
・小屋の中で、少しでも「飛行」できると、ストレスは処理されやすい。
・小屋の中で、自由に「水浴び」「飲水」ができると、ストレスは処理されやすい。
*以下の理由で、ブロックやパーチに繋いだままの換羽は奨められない。
@繋いだままでは、嫌悪性ストレッサーに晒され、ストレスを処理し難い。
A羽ばたき、飛行、水浴びがし難いので、ストレスが処理されにくい。
B成長途中の新しい羽を傷めやすい。
Q:鳥に「ストレスを掛けないハンドリング(扱い)」とは・・・?
A:以下の3点に注意してください。
@適切な体重減
A訓練者の諸動作の丁寧さ
B訓練者の諸動作に対して、ピース・ミート(口餌)を随伴させること。
*Bの諸動作とは・・・?
・鳥にとって、訓練者の新奇な動作。
・鳥にとって、訓練者の嫌悪な動作。
C周囲環境の新奇刺激や嫌悪性刺激の出現に対して、ピース・ミート(口餌)を随伴させること。
Q:ハヤブサのウェイトはほぼフルの1090g。今日の飛びは垂直、緩急付けてくるがやはりタルイ。スピードも全然遅い。ルアーを獲られる危機感が全く無い。
状態のいまいちさはウェイトアップ?
単なる飛ばし込み不足?
実際猟期での初鳥飼いは1060gとかなり高いウェイトでしたし。
A:原因は、運動不足による体脂肪率の上昇と考えられます。
この場合の反応、行動の差異は、単なる「体重」ではなく「体脂肪率」によって左右されます。
Q:オオタカにフード仕込みは必要か・・・?
A:オオタカにフードを被せているのを海外のサイトでよく見かけます。
以下の点でフードの活用は有効です。
@車の中に大きな輸送箱が必要ない。(しかし、糞の対策が必要です。)
Aフィールドでのハンティング・モードのオン・オフができる。
B足革付け、爪嘴など「保定」する場合に、鷹に嫌な印象を与え難い。
しかし、以下の点でオオタカへのフード仕込みは困難です。
@若鳥・成長ではフード仕込みは、まず不可能です。
A綿毛の雛の時期からのフード仕込みが必要です。
Q:鳥が獲物をキャッチしても獲物の力に負けて離してしまいます。どうしたら良いでしょうか。
A:これは「フット・スキル」の問題なので、「生餌を使った訓練」を多数行う必要があります。
この訓練を多数行うことによって次のことを学習します。
@獲物を掴むスキル獲得
A獲物を押さえ込むスキル獲得
B獲物にとどめを刺すスキル獲得
「獲物を獲るという1つのスキル」を分析して考えると、
@キャッチ
Aホールド
Bキル
に別れ、それぞれのスキルは段階的に獲得する必要があるのです。
ルアー訓練にはいくつかの目的がありますが、この「フット・スキル」獲得を目的とするなら、
獲物と同じ程度の重さのあるルアーを使うと、生き餌への移行が容易になります。
Q:ルアーをキャッチさせる場合、スティックを手から離す必要があるか・・・
A:上級フットスキル獲得訓練の場合、鳥が急撃に跳ね上がり、ルアーを下からキャッチする必要がありますので、「持ち逃げしない訓練ができていれば」、それもまた有効です。
しかし、ルアーラインを長くスティックに設定しておけば、手からスティックをリリースする必要もなくなります。
Q:ルアーの適度な重さは?
A:「ルアーの適度な重さ」を考える場合は、次の2点を観点とします。
@スイングの容易性
Aフット・スキルの向上
@を求める場合、ルアーが空気抵抗に負けずに円滑に回転できる重さが必要になります。
Aを求める場合、狩猟する獲物の体重を観点とします。軽すぎるとフットスキルは向上せず、
重すぎると鳥が萎えてしまいます。
スティックを重くする理由は何か・・・・、ですが、
持ち逃げ防止のためにルアーの重さを補完する役割を持ちます。
Q:ペットを「擬人化」してはいけないか・・・・。
A:私論ですが、ペットを「擬人化」しても問題はないでしょう。
猛禽類も含めて愛玩動物は擬人化しなければ、愛玩動物になりえず、面白さはないでしょう。
動物に名前を付けたり、動物のことを「この子」と言ったりするのは擬人化の象徴です。
人間は大切なものほど擬人化しますし、擬人化しなければ大切なものにはなりえません。
では、何が問題か・・・・、ですが、
問題は、擬人化に伴う「過度な主観的感情」です。過度な主観的感情はペット相手でなくとも
人間同士であっても問題になりますよね。
そして大切なのは「客観的感覚」です。この客観的感覚は客観性を学習することによって獲得されます。(つまり、飼育管理、訓練の勉強です。)
ペット飼育は、適度な主観的感情と多分な客観的感覚がお互いに幸福をもたらすのではないでしょうか。
ペットと遊ぶときは「主観的感情」で、
ペットを飼育管理、訓練するときは、「客観的感覚」をもってすればいいかと思います。
Q: 観衆の中、ハヤブサの最初のスタートが悪かったのは何が原因なのか。見慣れない人だったのか、私の拳スタートではなかったからか、それとも雨か。
A:雨の中、ご苦労様でした。とても素晴らしいフライトだったと思います。
これは新奇刺激に対する嫌悪反射と刺激吟味が原因です。
この躊躇行動は、いつもと異なるフィールドの刺激、いつもと異なる天候の刺激、いつもと異なるフィールドの様相(観衆)などが引き起こしています。
私たちもいきなり観衆見守るステージに上げられたら、足がすくみますよね。これと同じですね。
時間をかければフィストから飛び立つことができるのは、実害のない嫌悪刺激が中性刺激化し、ルアー
による好反射が残存する嫌悪反射を制止するからです。
Q:最近、ルアーターンを長くやっていない。長くしようと思えばできるのだが、ギリギリの所でルアーを引きたい。鳥も解っているので「緩急、角度を変えて獲りに来る」。そうするとやられてしまう。。
A:鳥もスキル・アップしているようですね。決して悪いことではありません。
この場合、鳥が新しいスキルを使ったときにルアーを獲られるのが功を奏しているのです。
鳥が新しい行動(新しいスキル)を使ったとき、「大強化」してやると、その行動が強化され、
また、新しい行動をクリエイト(創造)することが強化されるでしょう。
常に30本のルアー・パス訓練をやっていると、30本目までは「なま追い」になったり、
しばらくの時間、ルアー・アタックぜずに旋回飛行だけする鳥になる場合があります。
30本のルアーアタックを完成させ、良質な状態を維持する場合、ときどき、20本目や10本目、
または5本目でも強化してやると、30本のルアーアタックをきちんとできる鳥になるでしょう。
Q:人が訓練でサーブした獲物には行くが、野の獲物には行かない。なぜか・・・・。
A:訓練初期は、鷹は、「人が出した獲物は獲りやすく、野の獲物は獲りにくい」、と学習してしまいます。
つまり、訓練の獲物と野生の獲物を「弁別」してしまうのです。
そのように弁別させないためには、フラッシュ&サーブに工夫が必要です。
下記のように工夫してみましょう。
@バードランチャーを使う。
A更にバードランチャーを鷹に見えないように工夫して、獲物をフラッシュして獲らせる。
Q:ハヤブサは、オオタカと異なり、一日一フライトしかさせることができません。
だから、猟果も出しにくいのでしょうか。
A:ハヤブサの場合、オオタカより訓練時間があまりかからなかったり、一日一フライトであったり
するので、欧米では1シーズンに「複数羽」使うのが普通です。
Q:ルアーを掴んで餌を食べてる時、手を近付けると羽を広げて隠そうとするようになりました。この行動を直す方法はありますか。
A:「持ち逃げ」しないだけ良いと思いますが、直す方法はあります。
まず、ルアーを獲らせたら、ルアーの餌を完食するまで「据え上げ」をしてはいけません。
また、ルアーの餌を食している間に、訓練者からピースミートを度々食させましょう。
(訓練者=好刺激の連合を築くことになります。)
Q:オオタカやハリスは、逆に餌鳴きやらなくなりました。どうしてでしょう。
A:おそらく、小屋へ繋ぎ始めたときは、一時期、餌鳴きが急騰し、その後に餌鳴きが止まった
のではないかと思います。
おそらく、ハヤブサと比べて、オオタカやハリスは代謝が低く、脂肪が貯蓄されやすいのでは
ないかと思います。脂肪が身体に蓄積され、餌も飽和状態になれば、餌鳴きは停止するで
しょう。
Q:週末しかフライトさせないと、「餌鳴き」がでてしまいますか?(ハヤブサ)
平日は小屋の中の餌代へ餌を置いて食させていますが、いかがでしょう。
また、最近、訓練者の足下へランディングする傾向も出てきました。
A:インプリントの鳥ですから、やはり、訓練者への「給餌依存」が強化されているようです。
ランディングの傾向は、体力・筋力の低下と「給餌依存」の相互作用による結果と言って
良いでしょう。
「給餌依存」を図式にすると、
「毎日フライト」 の場合: 数分のフライト行動 → 餌(獲物、ルアー)を自分で獲得する
「週末のみフライト」の場合: (小屋で)待つ行動 → 餌が給餌者によって提供される
となり、「自己餌獲得感」が低下して、「給餌依存感」が高揚してしまいます。
Q:週末しかフライトさせないと、「餌鳴き」がでてしまいますか。(ハヤブサ)
A:それは、平日の餌の与え方によります。
インプリント・バードの場合、訓練者が平日、ハンド・フィード(手で給餌)してしまえば、
「餌鳴き」が出てしまいます。ルアーなどを地面で掴ませ、食させれば、防げるでしょう。
Q:ジャンプ・アップス・トレーニングの際に毎回餌をやらなくて良いというのは、本当ですが?
A:「変動比率強化スケジュール」といって、「行動学習後の行動維持」に有効です。
簡単に言いますと、そのトレーニングを飽きさせないことができるということです。
しかし、まだ行動観察力が十分ではない初心者の方がこのスケジュールを使うことは、
少々危険です。適時強化を逸すると学習した行動が消去されてしまう可能性があります。
Q:1年間、鳥を小屋の中で“ねかせる”と大人になり、「餌鳴き」をしなくなると聞きましたが
本当でしょうか。
A:これは、“ねかせ方”によります。
訓練者=給餌者の連合を弱める形で、給餌ができていれば、「餌鳴き」を止めることができます。
@餌は小屋の中に、常に余っているように十分に与えておく。
(「餌鳴き」を起こす状況を作らないことが大切。)
A鳥に、訓練者が給餌する姿を見られないように、また訓練者が給餌をするために小屋
に近づく音が聞こえないように給餌する。
フード・シューターを小屋に備え付けておくと良い。
*上記のことを実践すれば、「自己餌獲得感」のようなものが涵養されます。
Q:餌鳴きがひどいのですが、体重を一度フルにしてからゆっくり落とすことで鳴きがおさま
るということはあるんでしょうか?
A:「訓練者=給餌者の連合」を断ち切るか、弱くするかしないと同じことになるでしょう。
Q:「フィスト離れ」が悪いハヤブサは、どうしたら良くなるでしょうか。
A:あまり気にする必要はありません。
訓練の進展に伴い、フードを外して、フィストを高く上げれば、フライトを始めるようになります。
気になるようであれば、次の方法を試してみましょう。
@フードを外して、フィストを高く掲げる。
Aフライトを始めるまで、じっくり待ちます。
Bやがてフライトを始めたら、即時ホイッスルを吹いて、ルアーを地面に落とし、掴ませて
大報酬を与えます。(オペラント行動強化)
これで、ハヤブサは「フィストを離れれば、餌が出る」ことを学習します。
*注意:ハヤブサを無理矢理フィストから、飛行させようとしてはいけません。
ハヤブサは飛行準備ができていなければ、すぐにランディング(着地)してしまいます。
悪癖学習の元になってしまいます。
Q:どんなときにロストしてしまうのか。
A:@野鳥によるモビングや人為的な嫌悪性の環境刺激が存在してトラブル・フライトした場合。
A遮蔽物の裏側へ行ってしまって、鳥が訓練者を見失ってしまう場合。
B獲物を追い過ぎてしまって、鳥が訓練者を見失ってしまう場合。
C体重が高く、上昇して風に流されてしまう場合。
D強風に流されてしまう場合。
D新しい訓練課題を鳥が理解できず上空を漂ってしまう場合。
Q:「渡り訓練」には本数は必要ないのですか?
A:「渡り訓練」には、以下のように段階があります。
[渡り訓練の段階]
@長い距離を渡させるトレーニングの段階
*「距離の条件付けの段階」なので、本数は少なく課題達成には「大報酬」を与える。
A筋力・体力を付けるトレーニングの段階
*反応がよい(即時反応が得られる)距離を反復練習する。報酬は即時反応が得られる
量でよい。
Q:「渡り」の距離を伸ばすには、どうしたらよいか?
A:距離を伸ばすには、「少々の体重減」と「徐々に距離を伸ばしていくこと」が大切です。
前回の訓練時より距離が出たなら、訓練を止めて餌をたっぷり与えます。(大強化)
大切なのことは、本数をこなすことではなく、課題達成に対しての報酬です。
Q:インプリント・バードをフィストにコールして、フィスト・バウンドにしない方法はあるか?
*フィスト・バウンド:フィストを餌だと思い、鷹がフィストから離れない状態。
A:あります。
餌合子などの餌容器をしようするとフィスト・バウンド学習が回避されます。
このような容器を使うと、グラブ=餌の「連合」が成立し難く、グラブがパーチ代わりに
なります。
Q:ハイタカ属のインプリント・バードの場合、ルアー・コールのみの訓練でフィスト・コール
の訓練の必要性はないか・・・?
A:ハンティングを目的とする場合は、フィスト・コールの必要性があります。
ブッシュの背が高くてルアーでは降ろすことができない地理的条件もあり得るからです。
Q:近い距離では、フィストに降りてくるが、遠距離では、降りてこない。
ルアーなら降りてくる。なぜか・・・・?
A:まず、コールの様態について説明しましょう。
@餌合子によるコール
A羽節、ピース・ミートによるコール
Bルアーによるコール
C生餌によるコール
コールの方法には。上記のように4つの方法があります。
鷹にとっては、@→A→B→Cの順で刺激的になっていきます。
日本では、@ACが伝統的に使われています。
現代の日本では、ABCが使われています。
英国では、Cが禁止されているためにABが使われています。
@は、やはり高貴な身分の人達が鷹を扱うために考え出されたものです。
(餌合子は、インプリント・バードを訓練する上で、別の意味でかなり有効性がありますが)
BCがあるのは、「鷹から訓練者への距離」、「鷹の生理・心理状態」に対応するため
です。鷹から訓練者への距離がかなりある場合は、フィストへは降りて来ない場合があり
ます。それは、距離が離れるにつれて、小さな餌の好刺激性が訓練者の視覚的嫌悪
性に負けてしまうからです。その場合は、BかCが使われます。また、鷹が獲物を追った
あと木の枝などにパーチングした場合は、興奮してルアーでさえも見えない場合もあります。
その場合は、野生の獲物とほおぼ同等の刺激を持つCが使われます。それでも降りて来な
い場合は、興奮という反射が沈静化するまで待機する必要があります。
フィスト・コールとルアー・コールの場合の鳥の反応の差異は、「嫌悪性を帯びた訓練者と
餌(フィスト/ルアー)との距離」と「餌が付いたものの形状(フィスト/ルアー)」にあり
ます。ですから、ルアーコールの方が反応が良いのです。
Q:鳥が高所に上がり、なかなか降りてこない。
A: y=f(x)で考えてみましょう。
y :鳥の反応の程度
x1:鳥の生理状態(体脂肪率:体重)の程度
x2:鳥の生理状態(体力・筋力)の程度
x3:訓練者の好刺激性の程度(レスポンデント条件付けの程度)
x4:高所周囲環境の嫌悪性の程度
x5:餌自体の刺激の程度(切餌の大きさ、ルアー、生餌)
x6:餌(訓練者)との距離の程度
初期訓練の場合、x4の影響とx6の影響を強く受けます。
x1〜x6の適切な処理を行えば、解消可能です。
Q:「渡り」の際、拳にフライトしてきた鳥が、拳上の餌を持ち逃げしようとする。
どうしたらよいか・・・?
A:いくつかの原因が考えられます。
@訓練者、またはその周囲に嫌悪性刺激が存在する。
A体重が高く、そのため環境の嫌悪性を感受しやすい状態にある。
B体重が高く、持ち逃げをするに十分な体力、筋力がある。
@解消には、「据え込み」や「据え回し」が必要です。
A、Bには、体重減が必要です。
訓練者は餌をしっかり握り、持ち逃げされないことが大切です。